議会改革白書
議会改革白書2009年版 議会改革最前線・議会基本条例の展開と実践
編著 廣瀬克哉・自治体議会改革フォーラム
生活社 2009年3月3日発行 本体3,500円 A4判 248ページ
お申込みは、自治体議会改革フォーラム( ) まで。
ご注文品名、冊数、お届け先、請求書宛名、その他、必要書類等をお知らせください。
市民と議員の条例づくり交流会議・会員は、会員価格にてお求めいただけます。
年会費の納入をご確認の上、会員であることをご明記ください。
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議会改革白書の刊行にあたって
2006年5月の栗山町議会基本条例の制定以来、全国の自治体議会に改革の動きが広がっている。議会基本条例だけをとっても、2008年末までに北海道から九州まで31の議会で制定されている。2009年にはさらに多数の議会基本条例が誕生することだろう。あらためていうまでもなく、議会基本条例の制定だけが議会改革ではない。会議規則や委員会条例の修正や運用の見直しだけでも、改革すべきこと、また実行できることは少なくない。2008年4月から5月に自治体議会改革フォーラムと朝日新聞が共同で行った調査によると、何らかの形で議会改革に取り組んでいる議会の割合は44%にのぼる。
これまでにも自治体議会において改革の取り組みが行われてこなかったわけではない。しかし、今回の議会改革が全国的に広がっていく直前の時期には、議員定数の削減や報酬の減額等議会にかかるコストを削減することが、もっぱら目に見えやすい改革として評価されるという状況が生じていた。すなわち、議会の現状に多くの問題があると見られる一方で、議会の活性化への積極的な期待は浮かび上がってこないという状態に陥っていた。
現在進行中の議会改革は、その状況を打開していく可能性をもった改革であるという点において、新しい動きであるとともに、地方自治の将来にとってきわめて重要なものということができる。
すでに制定された議会基本条例の中には、規模や改革課題の重点に対応して一定の多様性が見られるが、全体を通してみると、これまでの改革にはあまり見られなかった以下のような特徴が備わっている。すなわち、①議員個々の活動にとどまらない機関としての議会活動の活性化、強化を意図していること、②合議制代表機関としての特徴を活かした改革を指向し、議員間の討議を重視していること、③議会を市民参加の場のひとつとして位置づけ、市民との多様な意見交換の場を充実させようとしていること、④議会による政策形成活動を重視していること、⑤議決事件の追加などにより議会の権限の範囲を拡大していこうとしていること、⑥議会によるチェック機能の強化のための具体策をとろうとしていることなどである。
これらの改革の方向性は、議会が積極的に自治を担っていくための活性化をめざすものである。その具体的な取り組みについては、相互の訪問視察などにより、議会間で伝達され、徐々に情報は普及しつつあるが、その広がりが議会改革に熱心に取り組む議会関係者という範囲を超えてはあまり進んでいないのが、残念ながら現実である。このような「壁」を乗り越えて、市民と議員の間で、自治の活性化のために協力し合って現状を変えていくための知恵と経験を広く共有していけるような取り組みが求められている。この白書は、そのための媒体のひとつとなることを意図して企画された。
自治体議会改革フォーラムの取り組みは、2001年から始まった「市民と議員の条例づくり交流会議」の活動に起源をもっている。第一次分権改革にともなう機関委任事務制度の廃止により、自治体の、すなわち、議会の自己決定権の範囲が、自治体の仕事の全体に及ぶようになったことから、市民と議員が政策をつくり、条例として実現していくための知恵と経験の共有のための場を設けようとしての取り組みであった。しかしながら、議員立法による条例づくりは期待したようには進まなかった。議会が政策づくりの場であるという認識そのものが広がっていかず、また、自治体議会の実情を知れば知るほど、市民と議員が政策を実際につくっていくための条件がそもそも欠けているのではないかとの思いをもたざるを得ないのが実情であった。
まず議会のあり方を変えることから出発する必要があるのではないか。そのような認識を確認しつつあった2006年に、栗山町の議会改革と議会基本条例制定の取り組みを知り、2007年7月の条例づくり交流会議に栗山町議会から橋場議長をお招きし、その改革の考え方や実践の経験について学ぶ機会をもつことができた。この知見をもっと広め、議会改革を選挙の争点として、議会改革を広げる運動を展開するため、2007年の統一自治体選挙に向けて「自治体議会改革フォーラム」は誕生した。その活動の一環として、全国の自治体議会の運営実態を把握するための調査にも取り組んだ。
その後、自治体議会改革フォーラムはそれを生み出した「市民と議員の条例づくり交流会議」のプロジェクトの一つとしての位置づけを得て、2008年以降も持続的に活動していくこととなった。年に数回の会議やフォーラム等においては、全国の議会改革の取り組みや、市民と議員による政策づくりについての情報交換を行っている。また、議会の運営実態調査は2008年、2009年と継続して実施しつつある。それらの活動を通して得られた情報を、一冊の冊子に取りまとめ、全国の自治体議会の運営実態について広く公表するとともに、制定が進みつつある議会基本条例の内容や制定経過、先行して議会改革に取り組んでいる全国の議会の経験やその意義について広く共有していきたいと考え、ここに「議会改革白書」を発行する次第である。
この白書が、議会改革の取り組みに必要な情報の周知や共有を通して、議会改革を議会関係者だけのものにとどめるのではなく、広く市民と議員の取り組みへと展開していくための一助となれば幸いである。
2009年2月 自治体議会改革フォーラム 呼びかけ人代表 廣瀬克哉
これまでにも自治体議会において改革の取り組みが行われてこなかったわけではない。しかし、今回の議会改革が全国的に広がっていく直前の時期には、議員定数の削減や報酬の減額等議会にかかるコストを削減することが、もっぱら目に見えやすい改革として評価されるという状況が生じていた。すなわち、議会の現状に多くの問題があると見られる一方で、議会の活性化への積極的な期待は浮かび上がってこないという状態に陥っていた。
現在進行中の議会改革は、その状況を打開していく可能性をもった改革であるという点において、新しい動きであるとともに、地方自治の将来にとってきわめて重要なものということができる。
すでに制定された議会基本条例の中には、規模や改革課題の重点に対応して一定の多様性が見られるが、全体を通してみると、これまでの改革にはあまり見られなかった以下のような特徴が備わっている。すなわち、①議員個々の活動にとどまらない機関としての議会活動の活性化、強化を意図していること、②合議制代表機関としての特徴を活かした改革を指向し、議員間の討議を重視していること、③議会を市民参加の場のひとつとして位置づけ、市民との多様な意見交換の場を充実させようとしていること、④議会による政策形成活動を重視していること、⑤議決事件の追加などにより議会の権限の範囲を拡大していこうとしていること、⑥議会によるチェック機能の強化のための具体策をとろうとしていることなどである。
これらの改革の方向性は、議会が積極的に自治を担っていくための活性化をめざすものである。その具体的な取り組みについては、相互の訪問視察などにより、議会間で伝達され、徐々に情報は普及しつつあるが、その広がりが議会改革に熱心に取り組む議会関係者という範囲を超えてはあまり進んでいないのが、残念ながら現実である。このような「壁」を乗り越えて、市民と議員の間で、自治の活性化のために協力し合って現状を変えていくための知恵と経験を広く共有していけるような取り組みが求められている。この白書は、そのための媒体のひとつとなることを意図して企画された。
自治体議会改革フォーラムの取り組みは、2001年から始まった「市民と議員の条例づくり交流会議」の活動に起源をもっている。第一次分権改革にともなう機関委任事務制度の廃止により、自治体の、すなわち、議会の自己決定権の範囲が、自治体の仕事の全体に及ぶようになったことから、市民と議員が政策をつくり、条例として実現していくための知恵と経験の共有のための場を設けようとしての取り組みであった。しかしながら、議員立法による条例づくりは期待したようには進まなかった。議会が政策づくりの場であるという認識そのものが広がっていかず、また、自治体議会の実情を知れば知るほど、市民と議員が政策を実際につくっていくための条件がそもそも欠けているのではないかとの思いをもたざるを得ないのが実情であった。
まず議会のあり方を変えることから出発する必要があるのではないか。そのような認識を確認しつつあった2006年に、栗山町の議会改革と議会基本条例制定の取り組みを知り、2007年7月の条例づくり交流会議に栗山町議会から橋場議長をお招きし、その改革の考え方や実践の経験について学ぶ機会をもつことができた。この知見をもっと広め、議会改革を選挙の争点として、議会改革を広げる運動を展開するため、2007年の統一自治体選挙に向けて「自治体議会改革フォーラム」は誕生した。その活動の一環として、全国の自治体議会の運営実態を把握するための調査にも取り組んだ。
その後、自治体議会改革フォーラムはそれを生み出した「市民と議員の条例づくり交流会議」のプロジェクトの一つとしての位置づけを得て、2008年以降も持続的に活動していくこととなった。年に数回の会議やフォーラム等においては、全国の議会改革の取り組みや、市民と議員による政策づくりについての情報交換を行っている。また、議会の運営実態調査は2008年、2009年と継続して実施しつつある。それらの活動を通して得られた情報を、一冊の冊子に取りまとめ、全国の自治体議会の運営実態について広く公表するとともに、制定が進みつつある議会基本条例の内容や制定経過、先行して議会改革に取り組んでいる全国の議会の経験やその意義について広く共有していきたいと考え、ここに「議会改革白書」を発行する次第である。
この白書が、議会改革の取り組みに必要な情報の周知や共有を通して、議会改革を議会関係者だけのものにとどめるのではなく、広く市民と議員の取り組みへと展開していくための一助となれば幸いである。
2009年2月 自治体議会改革フォーラム 呼びかけ人代表 廣瀬克哉
目 次
第1章 議会基本条例の展開と実践─現場からの報告
議会改革最前線! 住民とともに歩む 栗山町議会の挑戦
橋場利勝 北海道栗山町議会議長
議会改革の新展開 真の二元代表制をめざして 三重県議会
三谷哲央 三重県議会議員
市民とともに改革 工夫を重ねて着実な一歩を 京丹後市議会
大同 衛 京都府京丹後市議会議長
政策形成サイクルの運用と成果 市民意見を後ろ盾にした合議体へ 会津若松市議会
田澤豊彦 福島県会津若松市議会議長
執行部優位に対する議会の挑戦 合併の危機を改革のバネに 邑南町議会
長谷川敏郎 島根県邑南町議会議員
いまこそ、市民と議会の対話を―市民主催による対話集会の試み
守屋輝彦 小田原市・市民と議会の対話集会実行委員会
市民に開かれた議会をめざして 伊賀市議会基本条例の実践と取り組み
森岡昭二 三重県伊賀市議会議長
もっと身近な議会へ、もっと確かな議会へ ただいま議会基本条例制定中! 鶴ヶ島市議会
山中基充 埼玉県鶴ヶ島市議会議員
議会改革の最前線を追う─先進議会の取り組み評価
議会と総合計画 議会は総合計画にどうかかわるか
神原 勝 北海学園大学教授
住民自治と議会 議会報告会が住民の自治力を高める
江藤俊昭 山梨学院大学教授
議会不要論を超えて
神田誠司 朝日新聞編集委員
決算改革の可能性 多摩市議会における点数評価と自由討議導入の成果
川名雄児 東京都武蔵野市議会議員
議長マニフェストを評価する 松田良昭・前神奈川県議会議長の取り組みから
片木 淳 早稲田大学大学院教授
議会の附属機関へ参加して 会津若松市議会の条例制定過程から
松野光伸 福島大学教授
第3章 議会改革の到達点と今後の課題
広がる議会基本条例と議会改革の取り組み 全「31」条例の分析に見る改革のポイント
長野 基 跡見学園女子大学専任講師
議会は開かれているか?
秋葉就一 千葉県八千代市議会議員
市民参加の場としての議会
長野 基 跡見学園女子大学専任講師
議会は開かれているか?
菊地端夫 明治大学専任講師
議員間討議の現段階
廣瀬克哉 法政大学教授
市民と議員の政策づくり
饗庭 伸 首都大学東京准教授
地方自治法2008 年改正で何が変わるか
田口一博 地方自治総合研究所研究員
混迷する地方制度調査会
今村都南雄 地方自治総合研究所研究理事
第4章 全国自治体議会運営実態調査 結果報告2007・2008
全国自治体議会の運営に関する実態調査2007 調査結果概要
全国自治体議会の運営に関する実態調査2007 集計表
全国自治体議会の運営に関する実態調査2007 回答自治体一覧表
全国自治体議会の運営に関する実態調査2008 調査結果概要
全国自治体議会の運営に関する実態調査2008 集計表
全国自治体議会の運営に関する実態調査2008 回答自治体一覧表
資料編
議会基本条例制定過程状況一覧(2008年12月31日現在「31」条例)
議会基本条例全条文集(2008年12月31日現在「31」条例)
議会改革最前線! 住民とともに歩む 栗山町議会の挑戦
橋場利勝 北海道栗山町議会議長
議会改革の新展開 真の二元代表制をめざして 三重県議会
三谷哲央 三重県議会議員
市民とともに改革 工夫を重ねて着実な一歩を 京丹後市議会
大同 衛 京都府京丹後市議会議長
政策形成サイクルの運用と成果 市民意見を後ろ盾にした合議体へ 会津若松市議会
田澤豊彦 福島県会津若松市議会議長
執行部優位に対する議会の挑戦 合併の危機を改革のバネに 邑南町議会
長谷川敏郎 島根県邑南町議会議員
いまこそ、市民と議会の対話を―市民主催による対話集会の試み
守屋輝彦 小田原市・市民と議会の対話集会実行委員会
市民に開かれた議会をめざして 伊賀市議会基本条例の実践と取り組み
森岡昭二 三重県伊賀市議会議長
もっと身近な議会へ、もっと確かな議会へ ただいま議会基本条例制定中! 鶴ヶ島市議会
山中基充 埼玉県鶴ヶ島市議会議員
議会改革の最前線を追う─先進議会の取り組み評価
議会と総合計画 議会は総合計画にどうかかわるか
神原 勝 北海学園大学教授
住民自治と議会 議会報告会が住民の自治力を高める
江藤俊昭 山梨学院大学教授
議会不要論を超えて
神田誠司 朝日新聞編集委員
決算改革の可能性 多摩市議会における点数評価と自由討議導入の成果
川名雄児 東京都武蔵野市議会議員
議長マニフェストを評価する 松田良昭・前神奈川県議会議長の取り組みから
片木 淳 早稲田大学大学院教授
議会の附属機関へ参加して 会津若松市議会の条例制定過程から
松野光伸 福島大学教授
第3章 議会改革の到達点と今後の課題
広がる議会基本条例と議会改革の取り組み 全「31」条例の分析に見る改革のポイント
長野 基 跡見学園女子大学専任講師
議会は開かれているか?
秋葉就一 千葉県八千代市議会議員
市民参加の場としての議会
長野 基 跡見学園女子大学専任講師
議会は開かれているか?
菊地端夫 明治大学専任講師
議員間討議の現段階
廣瀬克哉 法政大学教授
市民と議員の政策づくり
饗庭 伸 首都大学東京准教授
地方自治法2008 年改正で何が変わるか
田口一博 地方自治総合研究所研究員
混迷する地方制度調査会
今村都南雄 地方自治総合研究所研究理事
第4章 全国自治体議会運営実態調査 結果報告2007・2008
全国自治体議会の運営に関する実態調査2007 調査結果概要
全国自治体議会の運営に関する実態調査2007 集計表
全国自治体議会の運営に関する実態調査2007 回答自治体一覧表
全国自治体議会の運営に関する実態調査2008 調査結果概要
全国自治体議会の運営に関する実態調査2008 集計表
全国自治体議会の運営に関する実態調査2008 回答自治体一覧表
資料編
議会基本条例制定過程状況一覧(2008年12月31日現在「31」条例)
議会基本条例全条文集(2008年12月31日現在「31」条例)